ノロウイルスによる食中毒対策1 -ノロウイルスについて-
細菌による食中毒と違い、ノロウイルスは人の腸管内で増殖し、糞便や嘔吐物、飛沫などによって
人から人へ感染します。(二次感染)
ノロウイルスとは?
ノロウイルスは二枚貝などに生息する小型ウイルスです。
人の腸管内で増殖し、嘔吐や下痢、吐き気、腹痛など急性胃腸炎の症状を引き起こします。
ノロウイルスによる食中毒は1年中発生しますが、冬に多く発生し、主に経口感染(食品や人から)します。
ノロウイルスに感染すると、24~48時間の潜伏期間を経て発症し、1~3日で症状が治まります。
感染力が非常に強く、少量でも感染します。
感染しても発症しない場合や、重篤化する場合もあります。(乳幼児や高齢者は重篤化しやすい)
ノロウイルスと細菌の違いは?
ノロウイルス | 細菌 | |
---|---|---|
構造 | DNAかRNAのどちらかしか持たない、 単純構造の微生物。 |
DNAとRNAの両方を持つ、単細胞生物。 |
増殖 | 人の腸管内で増殖する。 食品中では増殖しない。 |
食品中で増殖する。 水、栄養、温度、湿度など条件がそろえば 増殖する。 |
食中毒 | 冬に多い。 | 夏に多い。 |
その他 | エンベロープ(膜)を持たないため、 一般的なアルコール製剤が効かない。 塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)やエタノール系消毒剤には、ノロウイルスに |
アルコール製剤効果あり。 |
※1 「大量調理施設衛生管理マニュアル」より
ノロウイルスの感染経路は?
食品からの感染
ノロウイルスに汚染された二枚貝などを生あるいは十分に加熱しないで食べた場合。
調理者の手がノロウイルスに汚染されている、あるいはノロウイルスに感染している調理者が、
その手で調理加工し汚染された食品を食べた場合。
人からの感染
ノロウイルス感染者の嘔吐物、糞便などから、あるいはノロウイルスに汚染された施設・設備を利用し、
感染する場合。
ノロウイルスによる食中毒・二次感染予防
加熱 | 食材の中心温度85~90℃で90秒間以上の加熱をしましょう。 ノロウイルスが不活化します。 完全に加熱して食べれば問題ありません。 |
手洗い | 手指を介して感染が起こります。 石けんを使って、流水で丁寧に洗いましょう。 タオルは他の人と共用せず、ペーパータオルなど使い捨てのものか専用のものを 用意しましょう。 |
消毒 | 調理器具や設備、施設などの消毒をしましょう。 消毒は熱湯で加熱するか、これと同等の効果を有する方法で行います。 塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)やエタノール系消毒剤には、 ノロウイルスに対する不活化効果を期待できるものがあります。※2 |
※2 「大量調理施設衛生管理マニュアル」より
<参考>
国立感染症研究所「ノロウイルス感染症とは」
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
厚生労働省「ノロウイルス食中毒予防対策リーフレット」
厚生労働省「大量調理施設衛生マニュアル」
政府広報オンライン「食中毒を防ぐ3つの原則6つのポイント」
国立医薬品食品衛生研究所 「ノロウイルスとは」
「平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」(「ノロウイルスQ&A参考文献」)